イベント

イベント情報

「第Ⅱ期みんなのアートプロジェクト成果展 配置訓練 細井美裕+比嘉了」関連イベント 細井美裕《起点》

イベント

開催期間
2023年9月1日(金) ~ 2023年9月19日(火)

「第Ⅱ期みんなのアートプロジェクト成果展 配置訓練 細井美裕+比嘉了」の関連イベントとして屋上「風テラス」にて細井美裕による新作サウンドインスタレーション《起点》を公開します。

本作は、視覚では到達不可能な、聴覚によるランドスケープの形成を目指した、身体とネットワークをテーマとしたサウンドインスタレーション - 聴覚で身体を移動させるための装置です。

普段、当然のように視覚と聴覚の情報をセットにして受け取っている私たちは、各所を聴覚的に移動することで、そこに(行けないけれど、音は聞こえるという)ズレが生じた時、どういった体験をするのでしょうか。

本作を実現するために長野市内の9ヶ所に集音デバイスを設置し、美術館開館時間に合わせてリアルタイムでその音声を配信します。集音デバイスは、会場である美術館屋上「風テラス」から目視が可能な場所および長野の文化や音楽にゆかりのある場所を選定して設置しています。

※集音デバイスの設置にあたってはプライバシーに配慮した上で設置場所を選定しています。


  展示概要
会期 2023年9月1日(金)- 9月19日(火)
会場時間 9:00 - 17:00
休館日 水曜日
会場 3階屋上「風テラス」


「起点」に寄せて
目は、耳の届かない世界(遠く)を見ることができる。耳は、見えない世界(隔たりの奥や後ろ)を見ることができる。
目は(そもそも人間のハードウェアであるので)全てを人間のスケールに当てはめるけれども、耳はハードからソフトで変換される際、見えない部分の補完にソフトの特徴(各人の経験からくる想起)が表れます。

細井美裕

集音地点について
本作を実現するために、長野市内の9ヶ所に集音デバイスを設置し、美術館開館時間に合わせてリアルタイムでその音声が配信されています。集音デバイスは、会場である美術館屋上「風テラス」から目視が可能な場所および長野の文化や音楽にゆかりのある場所を選定して設置しています。

今回ご協力いただいた皆様には、この挑戦的な作品を快く受け入れていただいたこと、この場を借りて感謝申し上げます。本当は、エンジニアたちとお伺いしたそれぞれの場所、そしてその場所で出会った方々についてご紹介したいのですが(皆さんにとても温かくしていただきました)、この作品が「鑑賞者のなかに立ち上がる景色を見せるための装置」であることから、心を鬼にして削った手短なご紹介となってしまうこと、ご了承くださいませ。

正面向かって左手から、「犀北館ホテル」は、古くから川端康成や東山魁夷などが訪れ、歴史的な将棋の対局も行われた文化の集まる場所として知られ、本作の制作チームも滞在した思い出のホテルです。絵画も多数収蔵されており、長野県立美術館にゆかりのある作家の作品も館内で見ることができます。屋上から見える景色の左斜め前に、山肌が見えている場所があります。そのふもとに位置する「裾花峡天然温泉宿 うるおい館」は、緑の壁のような山を前にして足湯に浸かることもできる、開かれた温泉宿です(足湯が無料解放されているのです)。正面に見えるのは、全ての人々を受け入れる寺として知られる善光寺。現在は「大勧進」を本坊とする天台宗と、「大本願」を本坊とする浄土宗の両宗派が共存しています。初めて善光寺を訪れた時、ものすごい太鼓の音がする!と音に誘われてたどり着いたのが「大勧進」でした。次に善光寺と美術館を繋ぐ小道の途中に見える「甘味茶屋やよい」では、昔ながらのかき氷機で削られたかき氷を食べながら、毎時0分に鳴らされる立派な鐘の音を間近で聞くことができます。善光寺内中央右に少し高い建物「日本忠霊殿」内にある歴史資料館から外に出て、すぐ隣の道路が見えた時に、過去から現代までを移動したかのような感覚になったことを覚えています。右奥の山の上には、山とは少し様子の違う緑が茂る、りんご農園が集まる地区があります。遠くから見ると広い畑のように見えていたりんご農園は、近くに行ってみるとまた想像とは違った日常のなかにありました。りんご農園の地区を通り抜けて急な坂道を登ったところにあるのが「往生寺」。長野市出身の作曲家草川信による♪夕焼け小焼けで日が暮れて山のお寺の鐘がなる…♪この鐘は、往生寺の鐘と言われています。ご住職には、先代による貴重な「絵説き」の音声や昔話を聞かせていただき、歌と喋りが知らぬ間に交差する様子に大変衝撃を受けました。ちなみに、往生時の鐘を間近で聞いた時には…いや、これは作品で、聞いてみてくださいね。山の右手に赤く見えるのは「善光寺雲上殿」、本殿には善光寺如来の分身仏が祀られています。また、かつて善光寺で飼われていた2頭の牛は雲上殿で眠っているそうです。その右に見える四角い建物は、結婚式場「アマンダンスカイ」です。屋上から見ると離れて見える雲上殿とアマンダンスカイは、実は道をひとつ挟んだ隣に位置しています。デバイスの設置に伺った時に、「生と死(雲上殿には納骨堂がある)が隣り合っているんです、不思議ですね」と話されていたのをとてもよく覚えています。

細井美裕

細井美裕(Miyu Hosoi) https://miyuhosoi.com/
1993年生まれ。マルチチャンネル音響をもちいた屋内外のサウンドインスタレーションや舞台公演、自身の声の多重録音を特徴とした作品制作を行う。これまでの展示にNTTインターコミュニケーション・センター、山口情報芸術センター、東京芸術劇場、愛知県芸術劇場、国際音響学会、羽田空港など。文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞、Forbes JAPAN 30 UNDER 30 アート部門などを受賞。


クレジット
集音協力  ※表記はあいうえお順
  • 甘酒茶屋やよい(善光寺敷地内)
  • アマンダンスカイ
  • 往生寺
  • THE SAIHOKUKAN HOTEL
  • 裾花峡天然温泉宿 うるおい館
  • 善光寺

集音デバイス/音声伝送システム:安藤充人
再生システム:伊藤隆之
インストール:イトウユウヤ(arsaffix Inc.)
設営アシスタント:伊藤音渡
キュレトリアルアドヴァイザー:阿部一直
製作進行マネジメント:白澤千恵子(長野県文化振興事業団)
プロデュース/コーディネーション:松井正(長野県立美術館)
支援:令和5年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
Support: Project to Support Emerging Media Arts Creators, 2023

関連展覧会

企画展

第Ⅱ期みんなのアートプロジェクト成果展 配置訓練 細井美裕+比嘉了 詳しくはこちら
MENU