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館長挨拶

館長写真

ご存じのように、長野県立美術館には長い歴史があります。昭和41(1966)年に開館し、昭和44(1969)年に長野県へ移管され「長野県信濃美術館」となり、平成2(1990)年には作家からの寄贈を下に「東山魁夷館」も加わり、長い間、多くの皆様に親しまれてきました。

そして令和3(2021)年、「長野県立美術館」として新しく生まれ変わりました。
新しい建物は善光寺ご本堂や里山の連なりからなる見事な景観に溶け込みながら、これまでにない歴史的・自然的な風向をお楽しみいただけます。また、水辺テラスの中谷芙二子〈霧の彫刻 #47610-Dynamic Earth SeriesⅠ-〉はわずかな天気の変化で霧の造形が変化し、自然との共鳴が体感できます。

美術館の支柱はコレクションと展覧会だと言われています。長野県立美術館には5700点余の優れた作品があります。「自然と人間」、「長野県にゆかりの作家」等の収集方針の下に集められた作品を学芸員が研究し、コレクションをより拡充して、展覧会や学習プログラムに結実しています。県内外、海外との美術館ネットワークを充実させて、多様な視野に立った様々な分野の展覧会を開催しています。

わたしは美術館とは過去と現在を未来につなげていく場所だと思います。現代は多様な価値観がせめぎ合い、時には対立し争いも絶えません。情報は一瞬のうちに世界を駆け巡ります。地域や国、ジェンダーやセクシュアリティ、宗教や職業や年代や階層などによって分断が進んでいますが、一方で、違いを認めながら他者を尊重しようとする異なる位相も見いだされています。優れた作品は、複雑な世界や社会や問題や主題を単純化せずに、少しずつ言祝(ことほ)ぎながら新たな世界をわたしたちに見せてくれます。展覧会や学習プログラムを通して、過去を学び現在を考え、未来につなげていくような、美術館が人と人との結節点であればと願います。

美術館に関わる人が、お客さまやアーティストはもちろん、受付や警備の方、レストランやショップの方、輸送や展示、設営の方、作家の遺族やギャラリーやコレクター、批評家や研究者、プレスの方、事務職や広報や司書や学芸員も、長野県立美術館に関わることで、ほんの少しでも幸せになり、肩の荷が下り、新たな視野が拓け、怒りが収まり、ほんのちょっと痛みが治まる、長野県立美術館はそんな風通しの良い、人に優しい美術館を目指しています。

令和6年4月記

長野県立美術館長 笠原 美智子

美術館沿革

昭和40(1965)年3月23日
財団法人信濃美術館設立
昭和41(1966)年5月28日
財団法人信濃美術館新築工事完成(建設費1億円)
昭和41(1966)年10月1日
信濃美術館開館
(敷地面積:7,946平方メートル延床面積:1,826平方メートル)
昭和44(1969)年6月1日
同美術館を長野県に移管し、長野県信濃美術館発足
昭和45(1970)年10月15日
昭和45年5月着工の第二展示棟増築工事完成
(延床面積:654平方メートル)
(建設費6,500万円)
昭和49(1974)年3月29日
昭和48年12月着工の収蔵庫増築工事完成
(延床面積:333平方メートル)
(建設費5,192万円)
昭和54(1979)年7月12日
長野県美術品取得基金条例制定
昭和61(1986)年4月1日
管理運営を財団法人長野県文化振興事業団に委託する
昭和62(1987)年9月22日
東山魁夷作品寄贈目録贈呈式
昭和62(1987)年11月20日
東山魁夷館の基本構想発表
平成元(1989)年12月25日
平成元年8月着工の信濃美術館改修工事完成
平成2(1990)年4月26日
東山魁夷館開館
(着工:昭和62年12月 完成:平成2年2月
敷地面積:4,675平方メートル延床面積:1,698平方メートル)
(建設費11億円)
平成11(1999)年7月15日
東山魁夷館延入館者数200万人達成
平成15(2003)年3月31日
東山魁夷館側駐車場増設工事完成(40台→90台)
平成18(2006)年4月1日
財団法人長野県文化振興事業団を指定管理者とし、管理運営を委託する。(~平成21年3月31日)
平成20(2008)年7月17日
東山魁夷館延入館者数300万人達成
平成26(2014)年4月1日
一般財団法人長野県文化振興事業団を指定管理者とし、 管理運営を委託する。(~平成31年3月31日)
平成28(2016)年10月1日
長野県信濃美術館開館50周年
平成29(2017)年5月31日
改築工事のため東山魁夷館休館
平成29(2017)年10月1日
改築工事のため本館休館
令和元(2019)年10月5日
東山魁夷館リニューアルオープン
令和3(2021)年4月10日
長野県立美術館新築オープン
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