館長挨拶

長野県立美術館は、昭和41(1966)年に開館して以来、「長野県信濃美術館」の名前で半世紀余にわたって皆様に親しまれてきました。 その本館は、平成29(2017)年秋より建替工事のため休館しておりましたが、新しい建物が完成し4月10日に再開館するのを機に、「長野県立美術館」として再出発いたします。

新しい本館は、これまでと同じ善光寺ご本堂東側の城山公園(噴水広場)に立地しています。地下1階・地上2階(一部3階)建て、床面積約11,000㎡の建物を、ちょうど2階分(約10m)の高低差のある傾斜地に水平にビルド・インする(作りつける)かたちとなり、桜の名所として知られる東側高台の並木道がちょうど屋上広場の高さになります。建物のルーフトップに上がると、堂塔伽藍の立ちならぶ善光寺周辺のみごとな景色や美しい里山の情景が一望に見晴らすことができます。周囲の景観に溶け込みながら、(建物の屋上から、そして2階のレストランから)これまでにない歴史的・自然的風光をお楽しみいただける点で、それはまさに新美術館の基本コンセプトのひとつである「ランドスケープ・ミュージアム」を実現するものといえるでしょう。

県立美術館の使命は、もちろんコレクションの展示や企画展を通じて、明治・大正・昭和から今日にいたる近現代美術の歩みや広がりを、できるだけバランスよくご覧いただくことにありますが、ここで想い起こしていただきたいのは、100年前に描かれた歴史的名作であっても、制作当時はみな「現代美術」であったことです。美術作品は、どの時代にあっても(少なくとも近代美術の場合は)、ひとりの画家なり彫刻家がみずからの時代状況に果敢に立ち向かうことから生まれた果実であり、それらの声は、異なる時代に生きるわたしたちが聞き届けることによって現代に再生するのです。もちろんそれらを味わうためには、作家の生涯や時代背景に関する美術史的知見が大いに助けになるでしょう。そこに、学芸員や研究者の出番があります。

これといささか事情が異なるのが、作者がまだ健在の現代美術の場合です。現代の芸術家とは、いうまでもなく観る側のわたしたちと同じ時代の空気を吸い、同じ疑問や課題を抱えながら苦楽を共にしている人たちです。かれらは何をテーマに、何が言いたくて、日々制作しているのか――芸術家とじかに話し合うことを通じてものの見方を広げ、そこに集まった人たちがおのおのの意見の違いから相互に学び合うような場ができたら、なんて素晴らしいことでしょう。職業や地域や年齢や性別、あるいは国籍や宗教のバリアを越えて、互いの異質性(多様性)から何かを学ぶ場として、美術館ほど適した場所はないように思われます。美術は、文学や音楽と同様に、あくまでも作者一人ひとり、そして作品を受けとめるわたしたち一人ひとりの見方、感じ方をベースにした世界だからです。さまざまな鑑賞プログラム(展覧会)や、学習プログラム、交流プログラムを通じて、わたしたちは人と人が――芸術家を中心に――出合い、語り合い、学び合う場となるような美術館をめざして力を注いでいくつもりです。

このホームページは、コレクション展示や企画展、学習プログラムや交流プログラム、各種イベントやワークショップなどのご案内をお届けするほか、当館が所蔵する美術作品や図書資料の検索などにもお使いいただけます。わたしたちはホームページを、情報提供の手段というよりは、美術館という鑑賞-学び-交流の場への第一歩、その入り口と考えていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和3年4月記

長野県立美術館長 松本 透

美術館沿革

昭和40(1965)年3月23日
財団法人信濃美術館設立
昭和41(1966)年5月28日
財団法人信濃美術館新築工事完成(建設費1億円)
昭和41(1966)年10月1日
信濃美術館開館
(敷地面積:7,946平方メートル延床面積:1,826平方メートル)
昭和44(1969)年6月1日
同美術館を長野県に移管し、長野県信濃美術館発足
昭和45(1970)年10月15日
昭和45年5月着工の第二展示棟増築工事完成
(延床面積:654平方メートル)
(建設費6,500万円)
昭和49(1974)年3月29日
昭和48年12月着工の収蔵庫増築工事完成
(延床面積:333平方メートル)
(建設費5,192万円)
昭和54(1979)年7月12日
長野県美術品取得基金条例制定
昭和61(1986)年4月1日
管理運営を財団法人長野県文化振興事業団に委託する
昭和62(1987)年9月22日
東山魁夷作品寄贈目録贈呈式
昭和62(1987)年11月20日
東山魁夷館の基本構想発表
平成元(1989)年12月25日
平成元年8月着工の信濃美術館改修工事完成
平成2(1990)年4月26日
東山魁夷館開館
(着工:昭和62年12月 完成:平成2年2月
敷地面積:4,675平方メートル延床面積:1,698平方メートル)
(建設費11億円)
平成11(1999)年7月15日
東山魁夷館延入館者数200万人達成
平成15(2003)年3月31日
東山魁夷館側駐車場増設工事完成(40台→90台)
平成18(2006)年4月1日
財団法人長野県文化振興事業団を指定管理者とし、管理運営を委託する。(~平成21年3月31日)
平成20(2008)年7月17日
東山魁夷館延入館者数300万人達成
平成26(2014)年4月1日
一般財団法人長野県文化振興事業団を指定管理者とし、 管理運営を委託する。(~平成31年3月31日)
平成28(2016)年10月1日
長野県信濃美術館開館50周年
平成29(2017)年5月31日
改築工事のため東山魁夷館休館
平成29(2017)年10月1日
改築工事のため本館休館
令和元(2019)年10月5日
東山魁夷館リニューアルオープン
令和3(2021)年4月10日
長野県立美術館新築オープン

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