《霧の彫刻#47610 -Dynamic Earth Series Ⅰ-》映像記録上映
展示室1
開催期間2024年12月19日(木)~ 2025年1月5日(日)
当館の所蔵作品、中谷芙二子(1923-)による《霧の彫刻#47610-Dynamic Earth SeriesⅠ-》の「記録映像」を上映します。本作は、当館の2021年の本館リニューアルを機に、本館と東山魁夷館をつなぐ水辺テラスに常設設置した作品です。
「霧の彫刻」は中谷を代表するシリーズ作品で、国内外の各地に展示されています。特殊なノズルから高い圧力をかけて水を噴出し、大量に生成された人工的な「霧」によって形があらわれる、不定形の彫刻作品です。その場の地形や気象状況など、周囲の環境に影響を受けて絶えず形を変え、拡散しながら周囲の景色を白い世界に包み込みます。この中に足を踏み入れた鑑賞者は、揺らぎ、漂い続ける霧に、気象のわずかな変化を体感することができます。こうして霧の彫刻は、人間と自然とがかかわり、響き合うための「媒介」として機能します。
霧の彫刻シリーズのすべてには、当館所蔵作品の「#47610」のように5桁の番号が振られています。これは当該の作品設置場所から、最も近い気象観測地点に割り振られた「国際地点番号」です。中谷は霧の彫刻を制作する際、設置場所の地形や気象条件を丹念に調査し、霧の発生条件を検討します。この過程を経て、それぞれの作品に固有の霧の環境がつくられるのです。
《霧の彫刻 #47610-Dynamic Earth Series Ⅰ-》は、屋外で水を用いるという性質上、気温が低くなる冬季期間中は公開することができません(*)。そこで、この間に記録映像を公開し、ひとりでも多くの方に本作に親しんでいただくきっかけになればと考えました。風にそよぐ草木や揺れる水面、美術館の建物や公園の風景、これらと呼応しながら刻一刻と形を変える大量の霧、そして、そこを往来する子どもたちを始めとした鑑賞者―。その一瞬をとらえた数々の光景から、中谷の思いに少しでも触れていただくことができれば幸いです。
*当館では例年4月上旬~11月下旬に公開しています。
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⦿記録映像は10分49秒、ループ再生で上映します
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